株をやるときに債券と言えば、まず着目されるのが日本の債券よりアメリカの債券。
アメリカの国債(米国債の既発債)の利回りというのが、特に着目されます。
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アメリカの中央銀行であるFRBでは、年8回「FOMC」とよばれる金融政策決定会合をやります。
そのときに政策金利を利上げするか、利下げするかを決めています。
このFOMCの政策金利操作によって、米国債のインカム利回りは大きく変動。
株価にも影響を与えます。
FOMCによる利下げ → 米国債の利回りもさがる(株価はあがる)
FOMCによる利上げ → 米国債の利回りもあがる(株価はさがる)
米国債で注目されるのは、満期が2年、5年、10年、30年で設定されている4つの債券と考えていいです。
基本的に満期が長い国債ほど、インカム利回りは良くなるのが自然です。
たとえば平常時であれば、満期30年の米国債(30年債)は満期10年の米国債(10年債)よりも利回りが高いです。
これはみなさんがよく使う、銀行の定期預金と同じ理屈ですね。
満期1年で資金の拘束期間が短い定期預金よりも、満期5年で資金の拘束期間が長い定期預金のほうが、普通は利回りが高くなるわけです。
ところがまれに、短期債が長期債よりも利回りが大きくなることがあります。
これを「長短金利差の逆転」とか「逆イールドカーブ現象」と表現します。
特に満期10年もの米国債の利回りから2年もの米国債の利回りをひいた数字は着目されており、これがマイナスになると、株価指数が直近最高値から半値を割る大暴落(リセッション)の予兆となります。
満期が長いほど利回りが多い → 順イールドカーブ(正常な金融環境で、株も順調にあがる)
満期が長いほど利回りが少ない → 逆イールドカーブ(異常な金融環境で、株も暴落リスクがある)
投資家心理的に、株が過剰に買われていて「バブル」と認識される場合は、株が売られて債券が買われがちです。
特に満期30年もの米国債は安全資産と認識されますので、よく買われます。
これにより、長期債のインカム利回りが一気に低下し、逆イールドカーブ現象が発生するのですね。(債券が買われて値段があがると、債券インカム利回りはさがる)
「米国10年債と2年債の金利差逆転」による逆イールドカーブ現象がおきると、その1年・2年後あたりに雇用統計の「労働者増減数マイナス連発状態」が、玉突き状に発生。
リセッション級の株価大暴落が発生します。
なので逆イールドカーブは雇用統計よりも素早い株価大暴落のシグナルとして、非常に機能するのです。
1990年~1992年、2000年~2003年、2007年~2009年では、株価大暴落が発生。
いずれも、雇用統計(労働者増減数マイナス連続統計)より先に逆イールドカーブ(米国10年債から2年債の利回りをマイナスした数字のマイ転)がシグナルをだしていることがわかります。
このように「逆イールドカーブ発生 → 雇用統計悪化 → 株価大暴落 → 順イールドカーブ修正 → 雇用統計健全化 → 株価上昇 → 逆イールドカーブ発生」という循環を、およそ10年周期でくりかえすのが、株式相場なわけです。
マクロ長期ファンダを見るうえで、この逆イールドカーブと雇用統計は、非常に話題になるものです。
株をやる人であれば、必ずおさえておきたいものですね。
満期10年米国債の利回りから満期2年米国債の利回りをひいてマイナス状態(逆イールドカーブ)になったら、数年以内に雇用統計の「労働者増減数マイナス連発」がくる可能性が高い
「労働者増減数マイナス連発」が発生するころには株価指数もさがっていることが多いので、逆イールドカーブは雇用統計より素早く株価暴落を察知することができる
逆イールドカーブが発生したからといって、すぐに株価が大暴落するわけではないが、警戒して株の積極的な買いを、はやい段階で控えることはできる
● 米国10年債と2年債の金利差(外部リンク) |
米国10年債と2年債の金利差は、こちらで見れます。
特にマイ転が近い時期は、定期的に見ておくといいでしょう。
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