トレンドラインや水平ラインとあわせて、売買の根拠に使いたいテクニカルが、移動平均線です。
やはり移動平均線も、チャート分析では基本の基本。
しっかり覚えておきましょう。
目次
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移動平均線というのは、簡単に言えば一定期間の株価を平均した線のこと。
5日移動平均線であれば、当日ふくめて過去5日間の株価(終値)の平均の線。
たとえば銘柄Aの場合。
「1000+1010+1000+980+950」で合計4940。これを5で割って988円。
当日の1000円の株価に対して、当日の5日移動平均線の値は988円になります。
これを毎日計算していき、線にしたものが、移動平均線ですね。
トレンドラインや水平ラインと同じく、この移動平均線というのも、サポートライン(支持線、それ以上株価がさがりにくい線)・レジスタンスライン(抵抗線、それ以上株価があがりにくい線)の機能を持ち、売買の根拠になります。
(証券スマホアプリで、移動平均線は表示可能)
こちらは2018年末の日立(6501)の日足チャート。
黄色の線が、5日移動平均線となります。
この5日線の下にそって株価が動いてるうちはショート継続、上にそって株価が動いているうちはロング継続。
そんな使い方ができます。
株価が5日線の下にある → ショート(空売り)継続
株価が5日線の上にある → ロング(現物買い)継続
だいたいのチャートツールでは、短期線、中期線、長期線の3本が用意されていますね。
そして日足では、以下の線が初期設定されていることが多い。
短期線 → 5日移動平均線(略称・5DMA)
中期線 → 25日移動平均線(略称・25DMA)
長期線 → 75日移動平均線(略称・75DMA)
これらの日数は、自分の好きなように変えられます。
ただし、基本的に5本線、25本線、75本線というのは、もともと投資家に意識される抵抗線・支持線。
そのまま使ってしまうのがオススメですね。
200本線なんかも、「海外投資家」とよばれる投資のプロには、よく意識されます。
テクニカルの大半に言えることですが、「機能する指標」という視点ではなく、「みんながよく見ている指標」という視点で、使う指標を決めてトレードしていくほうが確実ですよ。
<移動平均線の特徴>
設定日数を少なくするほど → 線が株価に近くなり、機敏な動きになる
設定日数を多くするほど → 線が株価から離れて、ゆるやかな動きになる
他、週足や月足では、以下の本数がパターン。
長期投資家的には、日足平均線よりこれらの週足線・月足線のほうが重要ですね。
逆に短期トレーダーは、日足線や分足線が中心になります。
5分足でも5本線や25本線は機能し、デイトレに使えます。
長期投資家 → 週足や月足中心に見る
短期投資家 → 日足や分足中心に見る
そうそう、ちなみに略称についでですが、5日移動平均線であれば5DMA。
MAというのが「Moving Average」で、移動平均線を英語で言ったもの。
Dは「Day」で日の意味。
5DMAで5日移動平均線、となりますね。
Wは「Week」で週、Mは「Month」で月なので、週線は「WMA」、月線は「MMA」となります。
ツイッターなどのSNSでは、この略称はよく使われます。
SNSを見て情報を集めてる方は、覚えておくといいですね。
日足移動平均線 → DMA(Day Moving Average)
週足移動平均線 → WMA(Week Moving Average)
月足移動平均線 → MMA(Month Moving Average)
それでは、具体的に見ていきましょう。
(証券スマホアプリで、3つの移動平均線を表示できる)
こちらは2018年に大相場を形成した、ユニーファミマHD(8028)の日足チャート。
移動平均線は黄色の短期5、赤の中期25、緑の長期75。
上から株価、短期線、中期線、長期線の順に、並んでいることがわかりますね。
これを「パーフェクトオーダー」と言います。
上昇トレンドのときは、こうして「株価>短期線>中期線>長期線」と並び、上昇パーフェクトオーダーを形成します。
上昇パーフェクトオーダー(略称・上昇PO) → 上から「株価>短期線>中期線>長期線」の順に並んでる上昇トレンドのチャート
下降パーフェクトオーダー(略称・下降PO) → 上から「長期線>中期線>短期線>株価」の順に並んでる下降トレンドのチャート
このように、株価があらゆる移動平均線の上にあれば、上昇トレンドの強い裏付けになります。
「買ったあとはずっと放置してるだけで、勝手に利益が増えてる」の状態を目指すなら、こういう銘柄を選ぶのが最適解です。
また2018年のユニーファミマの場合、25日移動平均線というのが、サポートラインとして非常に機能しました。
ですのでここを株価が上抜けたら買い、下抜けたら売り、という判断ができます。
このとき、株価が25日線を上抜けることをゴールデンクロス、下抜けることをデッドクロスといい、売買の基準になります。
短期線が長期線を上抜いたり、下抜いたりすることもゴールデンクロス、デッドクロスと言いますね。
ゴールデンクロス(略称・GC) → 株価が平均線を上抜けること(あるいは短期線が長期線を上抜けること)
デッドクロス(略称・DC) → 株価が平均線を下抜けること(あるいは短期線が長期線を下抜けること)
あらゆる移動平均線の中でも、25日移動平均線というのはかなり目安になります。
単純に、株価が25日線より上にいるなら上昇目線、下にいるなら下落目線、という判断をくだすこともできますね。
25日線より株価が上 → 買い目線で考える
25日線より株価が下 → 売り目線で考える
上昇トレンド中、株価が少し下落して調整しているところを「押し目」といい、ここもまた買い場となります。
ファミマの場合は25日線にタッチするかしないかくらいで、ギリギリの押し目となっています。
また逆に下降トレンド中に、株価が少し上昇しているところは「戻り目」といい、こちらは空売りのタイミングに使えますね。
こちらは2018年10月~2019年1月のふくおかフィナンシャルグループ(8354)の日足。
上から長期線、中期線、短期線、株価の順に並んでる下降パーフェクトオーダーを形成していて、下降トレンド銘柄であることがわかります。
こちらも25日線や上方トレンドライン付近で、戻り目を形成していることがわかりますね。
絶好の空売りチャンスとなります。
(証券スマホアプリでは、移動平均線を表示させたうえで、トレンドラインをひける)
このように押し目で買うことを「押し目買い」、戻り目で売ることを「戻り売り」といい、トレード戦略としては有名です。
押し目 → 上昇トレンド中に形成する、若干の下降による調整
押し目買い → 押し目でロングをいれること
戻り目 → 下降トレンド中に形成する、若干の上昇による調整
戻り売り → 戻り目でショートをいれること
また、ふくおかの場合はめちゃくちゃキレイな日足チャートで、このようにトレンドラインと25日線がかさなっている場合は、強力なレジスタンスを形成。
株価を一気に下にはねかえしますね。
移動平均線、トレンドライン、水平ラインを単体で使うのではなく、複数くみあわせて使うことで、より強力な売買根拠になりますよ。
また長期投資家であれば、日足だけでなく、週足や月足で押し目や戻り目を確認することも大切です。
こちらは戻って、2018年末時点のユニーファミマHD(8028)の週足・月足チャート。
日足では25日線を割って下降トレンドとなり、だいぶさげていましたが、週足、月足ではまだ26週、24か月といった中期線を割らずに、上昇トレンド継続中。
このように「日足では下降トレンドでも、週足や月足では上昇トレンドの押し目」ということがあり、長期投資家であれば、このような場合には買いの判断をくだすことができますね。
日足がさげどまり次第、買ってみるのも手でしょう。
参考までに、こちらは2018年末のキヤノン(7751)の月足。
レンジ相場では、こうして移動平均線とローソク足がいりみだれ、わけがわからない状態になります。
このような相場は、初心者向けではありませんね。
なるべくパーフェクトオーダー相場でやるのが、初心者は確実です。
ちょっと長くなりましたので、移動平均線の要点をまとめましょう。
以下のような感じ。
銘柄によって25日線のほうが機能しやすいとか、13週線のほうが機能しやすい、ということもあります。
初心者のうちは、そういった視点でチャートを観察していくといいでしょう。
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