日本の円や欧州のユーロ。
世界には、あらゆる通貨があります。
その通貨の価値というのは、アメリカのドル(米ドル)を中心にして、日々変わっていきます。
これを為替(かわせ)といい、円を米ドルに変えたり、米ドルを円に戻すことを「外国為替取引」と言います。
株を売買するうえでも、この為替というものは無視できません。
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代表的な通貨ペアのひとつである「ドル円」であれば「1ドル=90円」とか「1ドル=110円」とか、1ドルをベースにして価格(為替レート)が表示されます。
「1ドル=100円」のときであれば、1ドルを100円で買えますし、逆に100円を1ドルで買えます。
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為替レートとそのチャートは、グーグル検索はもちろん、各種株アプリでも見ることが可能。
この為替レートは、土日以外をのぞく平日24時間、ずっと変化します。
たとえば1ドル100円から1ドル110円になることを円安といい、逆に1ドル90円になることを円高と言います。
勘違いしやすい点ですが、このドル円の為替レートは、円の数値が多くなると円安、逆に少なくなると円高ですね。
1ドルの価値が100円から110円に値上がりしてるので、ドルの価値が相対的にあがっており、円が安くなっていることに注目です。
逆に90円で1ドルが入手できるようになれば、ドルの価値はさがっていて、相対的に円は高くなっています。
ドル円の為替レートが下降トレンドでさがっている → 円高
ドル円の為替レートが上昇トレンドであがっている → 円安
<円安で「1ドル100円」が「1ドル110円」になる>
100円で買えたアメリカ産コーラが高くなり、110円払わないと買えなくなる → 日本人が海外製品を買う意欲がさがる(海外への旅行意欲もさがる)
1ドルで買えた日本産コーラが安くなり、0.9ドルで買える → 海外人が日本製品を買う意欲があがる(日本への旅行意欲もあがる)
<円高で「1ドル100円」が「1ドル90円」になる>
100円で買えたアメリカ産コーラが安くなり、90円で買える → 日本人が海外製品を買う意欲があがる(海外への旅行意欲もあがる)
1ドルで買えた日本産コーラが高くなり、1.1ドル払わないと買えなくなる → 海外人が日本製品を買う意欲がさがる(日本への旅行意欲もさがる)
上記は2011年から2018年のドル円月足チャート。
この10年間は80円~120円で推移しており、90円以下で円高圏、110円以上で円安圏。
そんなことが言えます。
代表的な為替ペアはドル円(USD/JPY)以外にも、ユーロドル(EUR/USD)やユーロ円(EUR/JPY)があります。
とりあえず株初心者は、為替を見るときはドル円の動向だけ見ておけばいいでしょう。
さて、このドル円ですが、基本的に円安にかたむくとインフレ(リスクオン)となり、日本株の株価も全体的にあがっていく傾向。
逆に円高になるとデフレ(リスクオフ)で、日本株の株価は全体的にさがっていきます。
円安・インフレで株価があがっていく → リスクオン
円高・デフレで株価がさがっていく → リスクオフ
相場の基本的なことになりますが、よく通貨の価値と物(株)の価値は反比例します。
通貨の価値がさがれば物の価値があがり株は買われますし、逆に通貨の価値があがれば物の価値がさがって株は売られます。
そして通貨安・株高のときは、世界全体が経済発展に楽観的なリスクオンのとき。
通貨高・株安であれば、バブル感や貿易戦争などの不安要素があって、悲観的なリスクオフのときです。
リスクオン時 → 値動きと利回りが大きい金融商品(新興国通貨、株など)に資金が流れる
リスクオフ時 → 値動きと利回りが少ない金融商品(先進国通貨、債券など)に資金が流れる
あらゆる先進国通貨の中でも、特に日本円はリスクオン時に売られ円安に、リスクオフ時に買われ円高になります。
なぜか?
いろいろ理由は言われていますが、私が思うに以下の理由が有力です。
日本政府が他国の通貨をたくさん持っているため |
(外部リンク・財務省・本邦対外資産負債残高の平成30年末概略より)
難しく言えば、日本が「対外純資産・外貨準備高の多い債権国」であるため。
日本政府は米ドルやユーロなどの他国通貨や、海外資産をたくさん持っています。
世界経済や為替が不安定になったとしても、保有資産バランスの良い日本政府が大きくへこむことはない。
そういう考え方から、世界経済が不安定になったときには日本円が真っ先に買われる、という理屈ですね。
まあ、あまり理由を気にしすぎても仕方がありません。
基本的にドル円レートと株は比例関係にあり、ドル円レートが円安であがっていけば株価もあがる、逆に円高でさがっていけば株価もさがる。
株をやるうえでは、そのことだけ覚えておけばいいです。
ちなみに、株価大暴落によって急激な円高になると、私たち日本人たちにとっては基本的にマイナスです。
まず日本の製品は割高になりますので、輸出がうまくいかなくなります。
外国人は日本で買い物しなくなりますし、海外からの旅行者もいなくなります。
この点は、私たちが普段、高い買い物をしたがらないことと同じです。
円高になれば買い物をせず、日本円を日本円のままで持ってようとする人が多くなるのです。
なので、あらゆる商売が成立しなくなり、経済は低迷します。
で結果、リストラも多くなって、私たちの仕事もなくなるわけです。
物の価値も人(労働力)の価値もドミノ倒しで、どんどん落ちていく悪循環。
この現象を、2000年ITバブル崩壊や2008年リーマンショックによる株価大暴落時には、
「デフレスパイラル」とか呼んだわけです。
政府に対外純資産が多いからといって、別にそれで日本人が恩恵をうけるわけではないのですね。
「円高」というと私たち日本人は得をした気分になりますが、決してそんなことはない。
基本的に円高で恩恵をうけるのは、もとから円をたくさん持っているお金持ちの人だけです。
これが円安になると一転、外国人は日本で買い物しますし、旅行者もふえますので、好景気になりやすいわけです。
私たちが普段、大バーゲンの大安売りに着目するのと一緒です。
日本円が安くなれば、日本円で売られてる商品はどんどん買われていきます。
円安 → 日本は輸出で稼げて、労働者や旅行者は増え、好景気になりやすい
円高 → 日本は輸出で稼げず、労働者や旅行者は減り、不景気になりやすい
こういう背景がありますので、為替の影響を回避して株を長期投資したい場合は、輸出が収入源ではない内需株(ディフェンシブ株)を中心に買う。
そして輸出が収入源になっている外需株(景気敏感株)の買いは、控えめにしておくことがキモです。
なおドル円は株と同じように、FX取引業者を使ってFX口座を作ることで、私たちも取引できます。
代表的なFX取引業者は、XMやSBI FXトレードなど。
特にXMは分析ツールが充実していて、オススメです。
たとえばドル円レート100円のときにロング玉のエントリーをして、そのままレートが101円になれば含み益になりますし、逆に99円になれば含み損。
ショート玉のエントリーなら101円になれば含み損、99円で含み益、という具合です。
株と比べてFXは、チャート・テクニカル分析重視の短期トレードで、手っ取り早く稼ぎたいときに使えます。
XMの詳細は、別記事にて。
● XMのわかりやすい解説(参考記事) |
長くなりましたが、株をやるうえでの為替の要点としては、以下の2点。
円安でドル円レートがあがれば、株価もあがりやすい(円安株高)
円高でドル円レートがさがれば、株価もさがりやすい(円高株安)
円で生活している日本人は、株を長期投資してるだけで、円と株という対極の資産を、自動的にバランスよく持てることになりますので、だいぶ資産形成がしやすいことがわかると思います。
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