ファンダの具体的な解説に入る前に、会社の収益構造について簡単に知っておきましょう。
会社には会計上、売上高と5つの利益というのがあります。
目次
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売上高(単に売上、収益とも)
粗利益(あらりえき、売上総利益)
営業利益
経常利益
税前利益(税引前当期純利益)
純利益(当期純利益)
特に重要なものとしては、売上高、営業利益、純利益の3つになります。
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会社の売上は、すべてが会社の財布に入るわけではないです。
売上からいろんな費用(経費)をひいていくことで、最終的な利益がでてきます。
みなさんも毎月給料をもらって、その給料すべてが自分の自由に使えるお金になるわけでは、ありませんよね?
家賃やローンを払ったり、日々の食費を払ったり。
こういった費用をとりのぞいたあとに、自由に使えるお金(可処分所得)というのが、みなさんの手元に残ります。
会社も同じです。
ですので基本的には売上高から最終的な純利益になるにつれ、どんどん金額は減っていきますね。
純利益がプラスであることを「黒字」と言い、逆にマイナスになることを「赤字」と言います。
ちなみに私たちに還付される株の配当金は、この純利益からだされることになります。
黒字 → 純利益がプラスであること
赤字 → 純利益がマイナスであること
(クリックで拡大・2018年OLC・有価証券報告書)
具体例として、2018年のOLC(オリエンタルランド・4661)の有報(有価証券報告書)。
売上高、経常利益、純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)がのっていますが、どの年も「売上高>経常利益>純利益」になっていることがわかります。
利益と経費の関係性をまとめると、以下のように。
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プラスになる収益 → 売上高・営業外収益・特別利益
マイナスになる経費 → 原価・販管費・営業外費用・特別損失・税金
プラスになる収益は厳密には3つありますが、基本的には売上高以外を考える必要はありません。
本業以外の副業収入となる「営業外収益」や「特別利益」というのは、普通は少額なためです。
同様に「営業外費用」や「特別損失」というのも、普通は少額。
つまり「営業利益・経常利益・税前利益」というのは、そんなに大きく数字は変わりません。
これらの数字が毎期大きく変わっている会社は、粉飾(ふんしょく)を疑ったほうがいいですね。
粉飾とは → 不正に業績を偽装すること |
粉飾している会社は、基本的に株価がさがります。
実際の会計書やスマホ株アプリの業績項目では、営業利益のかわりに、経常利益がでてくることが多いです。
なので経常利益や税前利益などのひととおりの単語は、頭にいれておくべきでしょう。
しかし特に覚えておくべき利益は、それぞれ数字が大きく変化する売上高、営業利益、純利益の3つということです。
そして原価と販管費(販売費および一般管理費)を大きくおさえこめている会社が、節約上手な会社ということになります。
整理すると、こんな感じに。
(クリックで拡大・2018年OLC・有価証券報告書・損益計算書より)
またOLCの有価証券報告書からの引用になりますが、こちらは財務諸表のひとつ、損益計算書(PL)。
損益計算書では、この記事で説明してきた利益や経費の推移が、ことこまかく書かれています。
ちなみに、本業で稼げてるかどうかを見るために重要な営業利益ですが、これのかわりに営業キャッシュフロー(略称・営業CF)を見る人も多いです。
簡単に言ってしまうと、営業CFとは「会社の手元に残っている、実際の現金でカウントした本業の利益」です。
営業利益だと、実際の手元に残っている現金だけで計算するわけでなく、数か月先の入金予定の利益まで計上するため、粉飾可能性が高くなります。
営業CFでは、その可能性をなくせるわけですね。
営業利益 → 数か月後に入金される予定の収益(売掛金)まで利益に計上するので、粉飾に使われることも多い
営業CF → 手元に残ってる現金だけで厳格に利益を計上するので、粉飾しづらい
営業CFは難解ですので、具体的な解説は別記事でやってます。
● キャッシュフローと利益はどう違うの?(参考記事) |
会社に粉飾がなければ、営業利益と営業CFが大きくひらくことはありません。
営業利益がプラスなのに営業CFがマイナスになっている銘柄は、買わないほうがいいですね。
(クリックで拡大・2018年OLC・有価証券報告書より)
有報では、営業利益に近い経常利益と、営業キャッシュフローの比較が可能。
OLCでも、さほど差がないことがわかります。
「売上高・営業CF・純利益」の3つが重要で、「売上>営業CF>純利益」という順の大きさの金額になっているのが正常
原価と販管費をおさえるほど利益は大きくなる
毎年「営業利益・経常利益・税前利益」の3つが大きく異なる会社は粉飾可能性大
営業利益と営業CFで大きなひらきがある会社も粉飾可能性大(営業利益プラスなのに営業CFマイナスの銘柄は避ける)
まあファンダメンタル分析の基本である有価証券報告書や、損益計算書といった財務諸表も、テクニカル同様、慣れです。
どんな決算書が正常かどうかは、何回も見ていくうちに覚えていきます。
2018年時点のOLC有報は、投資をするうえでは極めて正常な決算書の一例として、覚えておいて損はありません。
実際こういう決算書の銘柄は、月足の株価も右肩上がりです。
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