マクロ経済のファンダメンタル面を見る上で重要な指標はいろいろありますが、なかでも最重要と言われているのが、アメリカ合衆国の雇用統計です。
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● 米国雇用統計・ヤフーファイナンス(外部リンク) ● FRED・米国労働者数(外部リンク) ● FRED・米国労働者増減数(外部リンク) |
雇用統計は、これらのページで閲覧可能。
毎月第一金曜日に更新されます。
要約すると、アメリカの労働者が毎月ごとにどれだけ増減したか。
それをあらわすのが、雇用統計になります。
「非農業部門雇用者数」の変化数というのが、注目されます。
アメリカの労働者がふえる → 株価指数(ドル円レート)は上昇する
アメリカの労働者がへる → 株価指数(ドル円レート)は下降する
わかりやすいですよね。
アメリカの労働者がふえれば、基本的に会社は売上拡大。
労働者自身もお金を持てて消費意欲につながり、金回り・経済はよくなる。
結果、アメリカ株指数であるダウ平均株価やS&P500指数は上昇。
逆にへれば、会社の売上は停滞、お金を持たない労働者がふえて消費意欲も低下。
金回り・経済は悪くなり、ダウ・S&Pは下降。
そして日経を含む各国の株価指数が、ダウに連動するのは、以下の別記事で説明したとおりです。
● アメリカのダウ平均株価にも目をむける(復習記事) |
ダウがあがれば日経もあがり、ダウがさがれば日経もさがります。
そんなわけで日本株を投資するうえでも、毎月のアメリカの雇用統計は最重要視されるイベント。
日本人投資家は「アメリカのニートの増減に一喜一憂する」などと、よく揶揄されます(笑)
さて、雇用統計の具体的な使い方ですが、私なら以下のように使います。
こちらは、長期の日経平均株価と非農業・雇用者変化数を並べたチャートです。
雇用者変化数がマイナス統計を連発しはじめたあとに、株価も大暴落するという法則がありますね。
雇用者変化数がマイナスということは、労働者がへっているということです。
基本的に株価指数の下落のほうが先に起き、雇用統計はゆるやかに反応するので、雇用統計で株価指数の天井をとらえることはできません。
しかし小暴落にとどまらない、株価指数が一気に半分以下になるような、底なし沼の大暴落(リセッション)を事前に察知するうえでは、雇用統計は役に立ちます。
リセッションは景気循環的に、10年に1度はおこると言われています。
過去10年間で労働者増減の連続的マイナス統計が発生してない場合は、毎月雇用統計をチェックして警戒しておくべきでしょう。
私的感覚、1か月だけの労働者増減数マイナス統計であれば無視。
2か月連続でマイナス統計をだしたら警戒。
3か月連続でマイナス統計なら、株を売ったり、空売りすることを考えます。
参考までに1985年~2018年だと、株は3回ほどリセッション級の大暴落が起きています。
1990年~1992年・昭和バブル崩壊(日経40000円→15000円まで下落)
2000年~2003年・ITバブル崩壊(日経20000円→8000円まで下落)
2007年~2009年・リーマンショック(日経18000円→7000円まで下落)
いずれの期間も、労働者増減のマイナス統計が連続しています。
こういう期間は、嵐がすぎるまで現物株の長期投資はひかえたほうがよく、空売り主体で攻めたほうがいいですね。
10年に1度起きるであろう大暴落(リセッション)を事前にとらえるうえで役に立つ
過去10年間、雇用統計で労働者増減数の連続マイナス発表がない場合は、リセッションを警戒
3か月連続で労働者増減数がマイナス統計になったら、株を売ったり空売りすることを考える
労働者増減数がマイナス連続からプラス連続の統計になったら、株価指数も底入れと考え買い場
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