テクニカル分析では、株価チャート、出来高とついで、もうひとつ「オシレーター指標」とよばれる分析指標がよく使われます。
オシレーターの代表例はMACDとRSI。
今回はMACDについて、見ていきましょう。
目次
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(クリックで拡大・SBI証券スマホアプリより)
まずは2018年11月~2019年1月の塩野義製薬(4507)の日足で、実例を。
ピンク色で囲った部分が、MACDです。
このように上から「株価チャート・出来高・MACD」と並び、この3つが日本株におけるテクニカル分析のスタンダードです。
このとき、ローソク足が表示された上部チャートを「メインチャート」、出来高やMACDの下部チャートを「サブチャート」と言いますね。
この3つをトータルで考慮して、株のエントリー(購入)とエグジット(売却)のポイントを決めていくわけです。
なおMACDは「マックディー」、もしくは「エムエーシーディー」とよびます。
まあ、どちらでも通じますよ。
使い方はきわめて単純。
MACDには「MACDライン」と「シグナルライン」があります。
MACDラインがシグナルラインを上抜けるとゴールデンクロスとなり、買いサイン。
逆にMACDラインがシグナルラインを下抜けるとデッドクロスで、売りサインです。
照らしあわせると、まああたっている。
MACDでは、ゼロラインというのも重要。
ゼロラインより上でのデッドクロスは、その後の株価の下降確度がさらに高くなります。
逆にゼロラインより下でのゴールデンクロスも、その後の株価の上昇確度がさらに高くなります。
今回の塩野義の例では、左から2番目の四角のデッドクロス、3番目の四角のゴールデンクロスが該当ですね。
なおMACD算出のもととなる数値は「短期EMA=12・長期EMA=26・シグナル=9」で設定。
これがみんながよく使う標準値ですので、それにならって設定です。
<SBI証券・スマホ株アプリでのMACDの設定方法>
MACDの表示 → チャート欄から左の「テクニカル」クリック、サブチャートから「MACD」をクリック
MACDの数値設定 → さらに「設定」クリック、「MACD」クリックから12、26、9の数値にして「設定」クリック
(クリックで拡大・SBI証券スマホアプリより)
<MACDのまとめ>
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MACDにかぎったことではありませんが、サブチャートで表示できるあらゆるオシレーター・インジケーターには、ダイバージェンス(逆行現象)が存在します。
こちらは日本の主要株の平均株価をまとめた「日経平均株価(にっけいへいきんかぶか)」の月足チャート。
2004年~2011年のものを表示しています。
いわゆる株価指数のひとつで、この日経平均株価があがっているときは、個別株も全体的にあがる傾向が。
逆にさがっているときは、やはり個別株も全体的にさがりやすい傾向があります。
覚えておきましょう。
この日経平均株価(略称・日経)ですが、2006年初頭から2007年中盤にかけて、株価があがっているのに、MACDはさがっていますね。
このように、株価とインジケーターが矛盾した動きをしている場合、インジケーターは先行指標として機能。
そのあとの株価は、インジケーターの方向にいきます。
今回の場合、MACDが下にさげていますので、それにつられて株価もやがて下へ。
これを「ダイバージェンス」とよぶわけです。
いわゆる2008年の「リーマンショック」とよばれる株価大暴落のときにも、こうして月足でダイバージェンスがおきていました。
参考までに、こちらは2010年代の日経の月足。
これもまたダイバージェンスをおこしており、これだけでも2020年以降の景気悪化を、予想できたりします(笑)
最後に、株価があげるほうのダイバージェンス(強気のダイバージェンス)をひとつ紹介。
こちらは魚の缶詰の優待株として人気のある、日本水産(1332)の2007年~2016年の月足チャート。
株価がさがっており、MACDがあがっているダイバージェンスがあります。
結果的に、そのあと株価は上昇。
<ダイバージェンスのまとめ>
株価はさがっているが、MACDはあがっている → そのあとの株価はあがりやすい(強気のダイバージェンス)
株価はあがっているが、MACDはさがっている → そのあとの株価はさがりやすい(弱気のダイバージェンス)
使い方としては、こんな感じです。
まあダイバージェンスやMACDのクロスだけでエントリーを判断するのは、非常に危険です。
ローソク足理論や平均線、抵抗支持線、出来高などの他のテクニカルとあわせて、総合的に判断してエントリーを決めましょう。
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