グロース株投資において、成長率の次に重要になるのが、この利益率(売上利益率)となります。
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成長率が「その会社が毎期どれだけ稼ぎを大きくしているか」の指標であるのに対し、利益率は「毎期どれだけお金を節約しているか」の指標です。
みなさんも、いくら稼ぎが年収1000万円とか2000万円になったとしても、お酒やタバコにゲーム課金、キャバクラやホストで浪費して毎月100万円とかとばしていたら、全然お金はたまりませんよね?
会社も同じで、節約のできない会社は、どんどんおちぶれていきます。
成長率 → どれだけ稼ぎが大きくなっているかを見れる
利益率 → どれだけ節約できているかを見れる
利益率は売上と「5つの利益」、そして営業CFを使って、計算します。
利益÷売上×100(%) |
それぞれの利益を、売上でわる簡単な計算です。
これでその会社が節約できてるかどうかがわかります。
今回もラクス(3923)を使って、具体的に利益率を見ていきましょう。
ラクスの2018年の有報・損益計算書によると、売上と5つの利益・営業CFは以下のとおり。
これを基準に計算すると、ラクスは以下の利益率に。
(SBI証券スマホ株アプリより・ラクスの経常利益率)
株アプリでも、計算済みの経常利益率がのっています。
2018年は19.5%、計算間違いがないことがわかります。
成長率同様、利益率も多ければ多いほど良いです。
特に重要なのは、営業CFを売上で割ったキャッシュフローマージン(CFM)の利益率。
これは10%は欲しい所ですね。
かなり大雑把ですが、粗利益率は50%、営業利益率は7%、純利益率は6%というのが平均点。
ラクスはいずれも超えていますね。
「40%ルール」というのもあり、売上成長率とCFMをあわせて40%こえていれば買い、という基準もあります。
別記事「会社の利益の種類」では、「収益・利益で特に重要なのは売上・営業利益(営業CF)・純利益の3つ」と書きました。
それは「売上から営業利益の計算」と「営業利益から純利益の計算」は、それだけ次元が違うということなんですね。
営業利益から純利益を計算するには、基本的に税金をマイナスすればいいだけですので、予定調和。
税金以外の副業収支や臨時収支の部分で利益が大きく動けば、まず粉飾が疑われるだけです。
ですので「売上から営業利益の計算」、すなわち原価と販管費がどれだけ削れるかで、利益率の多くは決まると言っていいです。
売上から営業利益 → 会社のほうで経費を調整でき、会社のお金(原価・販管費)の使われ方、節約の仕方のセンスが試される
営業利益から純利益 → 会社のほうで経費を調整できない
2000年頃に「ITバブル」とよばれ、IT企業の株価が著しくのびたのは、原価と販管費がまったくかからなかったためです。
<IT企業の原価と販管費>
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ラクス(3923)のように、利益率の高いIT系の株は、現在でも株価があがりやすい銘柄として人気です。
逆に製造業のように、部品を買ったり給料支払いで一気に利益が減ってしまうビジネスモデルの銘柄は、株価が不安定になりやすいですね。
ですので株初心者ほど、IT業のような原価と販管費が少なくて利益率の高い銘柄を、シンプルに買っていくといいでしょう。
販管費、すなわち従業員の給料は、へらせばへらすほど良くなることもある、ということです。
じつはこういった労働者が嫌悪するような給料ダウンやリストラというのは、投資家的にはプラスなことが多いですね。
利益率があがるからです。
つまり株投資をする以上、客や従業員の側でなく、経営者や投資家の側の立場になって考えることも重要。
利益率をとおして、そんなことがわかってきます。
<利益率のポイント> 営業CFを売上で割ったCFM(キャッシュフローマージン)が、毎期10%以上の株を買う |
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