テクニカル分析のひとつに「移動平均乖離率」とよばれるインジケーターがあります。
移動平均線からどれくらい株価が離れているかを示した数値で、株の場合頻繁に利用されるのが、25日移動平均線。
25日線からどれくらい株価が離れているかを見ます。
目次
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(株価-25日線の数値)÷25日線の数値 |
乖離率は、この計算ででてきます。
たとえば25日線が2000円で、現在株価が2100円にある株は、上方に100円乖離していますね。
(2100-2000)/2000=0.05(5%) |
この場合は、株価が25日線の上方に5%乖離している、と言えます。
いっぽう25日線が3000円で現在株価が2700円と、株価が25日線の下にある場合。
(2700-3000)/3000=-0.1(-10%) |
下方にマイナス10%乖離という形で、マイナス圏の表示もできます。
移動平均乖離率という名前がついているくらいですので、主に逆張りトレードに使います。
移動平均線から下方乖離 → 逆張り買い
移動平均線から上方乖離 → 逆張り売り
● 順張りと逆張りの違い(復習記事) |
逆張りの基本的な話になりますが、逆張りは値動きがゆるやかな金融商品ほど、うまくいきます。
なぜなら値動きがゆるやかなほど、過去のチャートから乖離率の上限下限がデータ化しやすく、ナンピンや損切りの基準が明確だからです。
基本的には、以下のような感じ。
値動きの大きい小型株、景気敏感株、個別株 → 逆張りは成功しづらい
値動きの小さい大型株、ディフェンシブ株、指数 → 逆張りは成功しやすい
個別株よりは指数のほうが、逆張りの確実性はあがる。
このことを念頭に、これからの記事を読み進めてください。
移動平均乖離率の使い方の具体的な一例。
日経平均株価、およびダウ平均株価といった世界的な株価指数。
これらの指数では、25日移動平均線(25DMA)のマイナス10%乖離のところで買いをいれると、逆張りが成功しやすいです。
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上図は2018年の日経平均株価と25日線、および25日線下方乖離マイナス10%線。
この乖離線については、パソコンの証券ツールなどで「エンベロープ」の指標を使えば表示できます。
マイナス10%乖離のところ、2018年は具体的には2月5日、10月26日、12月25日となりますが、ここで買いをいれると、だいたい底値になって株価があがっていきますね。
日経平均株価の25DMAマイナス10%乖離は、だいたい大底になりやすいということです。
なぜなら一般投資家の「追証」による投げ売りが発生して、「売られすぎ」の状況だからですね。
この状況なら、先物などの指数商品はもちろん、どんな個別株を買っても、だいたい儲かります。
実際に私が統計をとって検証したデータとなりますが、2008年10月のリーマンショックを除けば、2018年に限らず、過去数十年にわたって、この「指数25DMAマイナス10%乖離で買い」の法則は使えます。
資金管理をふまえたうえで、覚えておくといいでしょう。
この法則は、あくまで乖離率を使ったトレードの一例です。
乖離率は自分で調整し、過去チャートを見て、いろいろと検証してみるといいでしょう。
短期トレードでも使える技術になります。
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