株価の大小をはかるバリュー指標のひとつとして「配当利回り」というのがあります。
最近のバリュー株投資法の指標としては、一番メジャー。
またインカム投資家(配当金を目的にする長期投資家)にも、人気のある株価指標です。
目次
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計算には、一株あたり配当金(DPS)と株価を使用。
配当利回り=DPS÷株価(配当金総額÷時価総額) |
単位は「%」を使用しますので、実際は「DPS÷株価×100(%)」の計算に。
会社が株主全体にくばる年間の配当金総額を発行株数で割ると、DPSがでてきます。
PERやPBRとは違い、配当利回りでは株価は分母にくることに、気をつけましょう。
また配当利回りが高ければ高いほど、株は買い時となります。
配当利回り=DPS÷株価 PER=株価÷EPS PBR=株価÷BPS |
PER・PBR → 数値が低いほど株の買い時(株価は分子)
配当利回り → 数値が高いほど株の買い時(株価は分母)
DPSも配当利回りも、各証券会社のアプリや四季報に載っています。
● 株で銀行預金以上の利子がもらえるってホント?(復習記事・配当金の簡単な解説) |
おさらいしておきますと、配当金というのは、銀行でもらえる利子(インカムゲイン・自動収入)の株版です。
配当金のでる株は、持っているだけで定期的にお金をもらえます。
たとえば株価2000円の株でDPSが50円の場合、配当利回りは「50÷2000=0.025」で2.5%。
100株を20万円で買うことで、配当金は1年で「200000×2.5%」の5000円もらえる計算です。
投資した金額を配当利回りで掛け算することで、えられる配当金がでてきます。
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銀行の利子とは違い、株は「権利付き最終日」という特別な1日を持ち越すだけで、1年(半年)ぶんの配当金がもらえることも覚えておきましょう。
詳細は、別記事にて。
● 配当金と優待をもらえる日が決まるルール(参考記事) |
配当利回りを基準にしたインカム投資は「売却益をねらったキャピタル投資よりも確実性が高い」という理由で、長期投資家にはよく好まれます。
またキャピタルゲイン目的のバリュー株投資でも、PERやPBRよりは配当利回りを参考にする人のほうが、断然多い。
なにせ純利益(PER)や純資産(PBR)とは違い、配当金は確実に投資家の財布に入ってくるお金になるからですね。
配当利回りはPERやPBRより、よっぽどわかりやすい指標となっています。
● キャピタルゲインとインカムゲインの違い(参考記事) |
では、キャピタル目的の場合、具体的にどれくらい配当利回りがあれば買い時になるのか。
5%以上あれば十分多い水準。
6%以上なら、盤石と言えますね。
配当利回り7%以上というのは、好景気ではなかなか見ません。
<配当利回りのポイント>
PERやPBRより、よっぽど逆張り指標として機能する
配当利回り6%以上ある大型株なら、かなり安全圏
会社が投資家に配る配当金を増やすことを増配、減らすことを減配と言います。
増配すれば配当利回りはあがりますし、減配すれば逆に配当利回りは下がります。
また株価は普通、増配によってあがりますし、減配によってさがります。
増配 → 同一株価で配当利回りが上昇、株価は普通あがる
減配 → 同一株価で配当利回りが下落、株価は普通さがる
配当利回りを根拠に逆張り買いのバリュー投資をしかけるなら、年々増配している銘柄を選ぶと、さらに根拠の強化になりますね。
また売上、純利益、純資産などが年々増えている、少なくとも横ばいになっている大型銘柄を選ぶと、さらに安心感につながります。
バリュー投資をするうえでも、グロース投資を意識して「割安成長株」を発掘する感覚を、忘れないようにします。
(クリックで拡大・SBI証券スマホ株アプリより・予想配当利回りと予想DPSを確認できる)
日本たばこ産業(2914)、通称JTは、日本大型株の高配当銘柄として名高いです。
2020年時点の月足・長期チャートは軒並み下降トレンド。
しかし配当利回り(予想)は7%をこえています。
(クリックで拡大・2018年JT有報・DPSを確認できる)
図はJTの毎年のDPS推移。
順調に増配していますね。
売上、純利益、純資産も、それぞれ年々それなりの横ばいであることがわかります。
業績やDPSの推移のわりには、株価は下落して割安に放置されていると言える。
このことから、ナンピンを前提に逆張りで買っていくのは、アリと言えます。
増配しているかどうかも含めて、これらのデータは有価証券報告書や各証券アプリの四季報データで、確認可能。
特に四季報を見れば、自社株買いや株式分割などで発行株数に変化があったときでも、過去のDPS表記が調整され、増配してるか、減配してるかの確認を正確にとれます。
配当利回り6%以上を狙う
年々増配していることを確認する
売上、純利益、純資産が年々安定していることを確認する
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