普通株取引では、株を買ったあとに株価があがらないと、利益をだすことができません。
しかし信用取引の「空売り(からうり)」を使うことで、株価がさがったときでも利益をだせるようになります。
|
<空売りの利益と損失>
株価1万円のときに100株を空売り
株価が5000円にさがれば、50万円の含み益
株価が2万円にあがれば、100万円の含み損
空売りで利益がでる仕組みは、超複雑。
株取引をやっていくうえで、別に知らなくてもOKなことですが、興味のある人は、別ページで詳しく解説してます。
● 空売りの仕組みについて知ろう(参考記事) |
空売りの場合も信用取引の買いと同様、3倍までレバレッジがききます。
たとえば現金100万円が入金されていれば、300万円ぶんまで空売りが可能。
株価1万円の株なら、300株まで空売りできます。
無論、買い同様、実際にはレバレッジ3倍まで使うことはなく、リスクコントロールして、空売りする金額をおさえます。
仕組み上、空売りは無限損失におちいる可能性もありますので、リスク管理はより慎重になるべきでしょう。
目次
[クリックで開閉]
|
なお、信用取引ではエントリー済の買いポジションと売りポジションを区別するため、以下のように呼びます。
信用取引で買ったポジション → 買いポジ・ロング・信用買い・買い玉(かいぎょく)・買建玉(かいだてぎょく)
信用取引で売ったポジション → 売りポジ・ショート・信用売り・売り玉(うりぎょく)・売建玉(うりだてぎょく)
買いポジションを持つ人 → 買方(かいかた)・ロンガー
売りポジションを持つ人 → 売方(うりかた)・ショーター
ポジション → 現物株、信用買い、空売りなどの株リスク資産のこと
エントリー → ポジションを作ること(現金を使ってリスク資産を作ること、「建てる・新規注文」とも)
エグジット → ポジションを解消して損益確定すること(現金にもどすこと、「反対売買・決済注文」とも)
一気には、覚えられないと思います(笑)
当サイトを読み進めるにあたり、今後これらの単語がでてきてわからないときは、ぜひこのページを振り返ってみてください。
なぜ買いをロング、売りをショートと呼ぶかは、別記事で説明しています。
● ショートの意味から考える空売りの使い方(参考記事) |
また反対売買の現金化で、信用買いポジを損益確定するための売りを「信用返済売り」、信用売りポジを損益確定するための買いを「信用返済買い」とか「買い戻し」とかと言います。
覚えておきましょう。
<エグジット(反対売買・損益確定・ポジション解除)の種類>
|
また「買い戻し」という言葉が示すように、空売りを解消するのは、株価をあげる行為になることも覚えておきましょう。
成行で空売りをいれてエントリー → 株価はさがる
成行で空売りポジの買い戻しをいれてエグジット → 株価はあがる
信用取引はいろいろ種類がありますが、ロングもショートも、基本的には「制度信用取引」を使います。
決済期限は6か月。
たとえば3月1日に制度信用取引でポジションを作った場合、9月1日までに決済しないといけない、ということです。
期日をこえると、証券会社から強制的にポジションを決済され、損益が確定します。
<信用の決済期限の一例>
3月1日に、株価1万円の銘柄Aに、制度信用取引のショートを100株たてる。
9月1日に、銘柄Aは株価1万5000円になっていた。強制決済され、50万円の損失が自動確定する。
以下は、トヨタ自動車(7203)の空売り例。
株価6655円のときに、指値で6720円の空売りをいれます。
(クリックで拡大)
(1)「取引」クリック、「信用新規売」クリック
(クリックで拡大)
(2)「制度(6か月)」クリック、株数を100にし、「指値」クリック、価格を6720円にし、パスワード入力、「発注」クリック
このように空売りをいれるときは、指値は株価より高値、成行は株価より安値。
買い戻すときは指値は安値、成行は高値から約定します。
以下、現行株価と比較したときの約定の仕方。
なお信用取引で買いポジをいれるときは、「信用新規買」となります。
本来「空売り」で利益をだすのは、初心者むけではありません。
普通、株というのは買いでエントリーし、株価があがったときにエグジットして、利益をだしていくものです。
ですが市場というのは、どうしても年に何回かは不安定になるものです。
10年サイクルで、ほとんどの株が半値を割るような大暴落がくる、ということもあります。
たとえば2018年は、半導体銘柄がずっとさがりつづけました。
SUMCO(3436)の株価は2018年1月に3250円の最高値をつけたあと、長期的に下落。
2018年12月の段階で、最安値1127円を記録しています。
そういう不安定相場ではそもそも株をやらない、という選択肢もとれます。
しかし空売りを使うことで稼げるなら、それにこしたことはありませんよね。
やはりいざというときに空売りが使えると、非常に心強いのです。
株価がさがったときに利益が出る「空売り」。
便利ですが、この空売りがまともに使える銘柄は、かぎられています。
例外として、SBI証券ではハイパー空売り(通称ハイカラ)、楽天証券では「いちにち信用」など、独自の空売りシステムがあります。
これらを使えば、本来空売りできない銘柄にも空売りできるようになりますが、こうした独自の空売りシステムは手数料が割高。
やはり信用取引・空売りの基本は「制度信用取引」になります。
特に制度信用取引で空売りのできる銘柄を、貸借銘柄(たいしゃくめいがら)と呼んだりします。
貸借銘柄 → 制度信用取引でロングもショートも作れる
信用銘柄 → 制度信用取引でロングは作れるが、ショートは作れない
制度信用取引が使えるのは、東証一部の大型株(時価総額の大きな株)が中心。
一番確実なのは、日経225採用銘柄ですね。(日経225銘柄については別記事「指数とは?」参照)
日本を代表する225の大型銘柄であれば、だいたい手数料激安で空売りが可能。
こういった背景がありますので、売りエントリーでは225銘柄しか取引しない人も多いですね。
(要点) 空売りは、制度信用取引で空売りできる大型株の貸借銘柄が基本 |
空売りも使えるようになると、株価があげてるときでも稼げ、さげてるときでも稼げます。
たくさんある株から、さがる可能性の高そうな銘柄を見つけて、売りエントリーをしてみたりと。
株もいよいよゲームみたく感じられて、楽しくなってくると思いますよ!
■ 次ページ 信用取引の手数料