しばしば信用取引や証拠金取引において、買いポジのエントリーは「ロング」、売りポジのエントリーは「ショート」と言われます。
なぜだか不思議に思った人も多いでしょう。
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もともとロング・ショートは、ブル・ベアと同じ意味で使われます。
ブルとは強気相場、ベアとは弱気相場のこと。
強気相場 → 株価があがりつづける状態のこと(上昇トレンド・ブル・ロング)
弱気相場 → 株価がさがりつづける状態のこと(下降トレンド・ベア・ショート)
そこから転じて「ロングは買いポジ・ショートは売りポジ」という意味になっています。
また文字通りロングには「長い」、ショートには「短い」という意味がありますね。
このことから「買いポジは長期間で持つもの・売りポジは短期間で持つもの」というニュアンスもあります。
一般常識として、買いポジは長期間、売りポジは短期間。
それはそのとおりです。
なぜなら、とれる値幅パーセンテージ(値上がり率・値下がり率)が関係してくるからです。
値幅をパーセンテージで示す値上がり率・値下がり率の詳細については、別記事を見てください。
● 値上がり率・値下がり率について(参考記事) |
たとえば株価1万円の銘柄があったとする。
買いポジをいれて、上昇トレンドに入ったとする。
その後、株価は3万円(値幅200%取り)、6万円(値幅500%取り)と無限にあがっていく可能性があります。
いっぽう株価1万円のときに売りポジをいれて、そのあと下降トレンドに入ったとする。
その後、株価は0円までは下がりますが、それ以上はさがらない。
つまり、100%以上の値幅をとることはできません。
ようするに原理上、値上がり率は100%以上になりえますが、値下がり率は絶対に-100%以下にはならないということ。
長期間の運用で、買いポジは100%以上(元本以上)の利益をうみだすことがありますが、売りポジは100%以上の利益をうみだすことは、絶対にできません。
こういった点から「売りポジは長期では使わず短期で使うもの」という認識は、合理的と言えるわけです。
これは損失についても同様。
株価1万円の銘柄に買いポジをいれて下降トレンドになっても、最大で下がれる株価は0円までなので、最大損失は-100%まで。
しかし売りポジをいれて上昇トレンドになった場合、株価は2万円でも5万円でも永遠にあがっていき、損失は-100%、-400%と無限損失に陥る可能性があります。
追証や借金のリスクも、でてくるわけですね。
「買いは家まで・売りは命まで」という投資格言がありますが、まさにそういった意味です。
買いは利益を無限にふくらませることができ、損失も現物であれば-100%以上の投下資金以上にはならず、借金漬けになることは決してない。
しかし売りの利益は100%以上にはならないうえ、損失も無限に広がって借金漬けになる可能性すらある。
この決定的な違いは、よく覚えておくといいでしょう。
これにプラスして、買いはノーコストで現物買いの放置ができますが、売りは信用取引というデリバティブな投資手法ですので、貸株料や逆日歩などの手数料が日々かさんでいきます。
損益的な意味でもコスト的な意味でも、買いは長期に向き、売りは短期に向くわけですね。
とはいえ、2018年のような暴落相場では、売りを長期的に使ったほうがいい局面があるのも事実。
ファナック(6954)などの景気敏感株は、長期間の下落相場になったことで有名です。
2018年は月足にして、連続で11か月陰線。
株価は33000から15000まで、一気に半値を割ってさげました。
制度信用取引の空売りで、信用期限の6か月をまるまる使っても、かなりの値幅を稼げています。
何事もケースバイケースになるのは、覚えておくといいでしょう。
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