このページでは前ページ「信用残と需給」について、さらに理解を深めて、相場の本質を見ていきます。
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上昇トレンド銘柄で、空売りをいれている人が損切りして、さらに株価があがることを「踏み上げ」。
逆に下降トレンド銘柄で、買いをいれている人が損切りして、さらに株価がさがることを「投げ売り」と言います。
<踏み上げ>
信用倍率1以下の月足上昇トレンド銘柄に
空売りエントリーしている大人数が
損切りの「買い戻しエグジット」をすることで
連鎖的に株価上昇が加速すること(踏み上げ相場)
<投げ売り>
信用取引1以上の月足下降トレンド銘柄に
買いエントリーしている大人数が
損切りの「売りエグジット」をすることで
連鎖的に株価下降が加速すること(投げ売り相場)
なんでこんなことが起きるのかと言うと、多くの個人投資家には、以下のふたつの習性があるからです。
逆張りが好き
損大利小トレードをしている
逆張りで、上昇トレンドに「これはあがりすぎだろう」と空売りをいれる。
下降トレンドに「これはさがりすぎだろう」と買いをいれる。
投資の格言である「安く買って高く売れ」を真に受け、漠然としたバリュエーション判断で、安易に逆張りポジをとる投資家は、じつに多いです。
その結果、ひたすら上昇トレンド銘柄では含み損まみれの売り残がふえ、下降トレンド銘柄では含み損まみれの買い残がふえていくわけです。
また多くの人は、上昇トレンドで買いをいれても、高値づかみを恐れて早めに利食いするので、買い残はふえません。
また下降トレンドで空売りをいれても、安値づかみを恐れて早めに利食いするので、売り残はふえません。
いっぽうで逆張りで上昇トレンドに空売り、下降トレンドに買いをいれて含み損になっても、ずっと放置。
含み損は含み損のままで、損益確定しないかぎり損ではないので、含み益になるまで待つ。
しかし結局そのうち耐えられなくなって、大きく損切り撤退。
これが一般投資家の心理である「損大利小」の仕組みです。
● 勝つ人は損小利大、負ける人は損大利小(復習記事) |
小資金の初心者ほどハイレバで取引しますから、追証や強制決済で自動的に損切りさせられることも多いです。
また多数派ポジにかけることで、逆日歩のような特殊な手数料が発生して、やられることも多いです。
● 金利手数料・逆日歩の具体的なかかりかた(参考記事・逆日歩のわかりやすい解説) |
つまり勝てる投資家になるには、負けがちな個人投資家とは別のことをすればいい。
順張りをする
損小利大トレードをする
月足トレンドへの順張りポジションを素直に売買し、含み益がでたらずっと放置して利確しない。
運悪く逆張りの目をひいて相場が反対方向にいったら、すかさず損切り(同値撤退)をする。
● ラインのまとめ(復習記事・トレンドラインの種類) |
そして買い残の多い銘柄には売りポジをいれ、売り残の多い銘柄には買いポジをいれる。
相場で勝てるのは、つねに少数派。
たくさんの人がその銘柄を買っているから、じゃあ自分もこの銘柄を買おう、という発想はアウトです。
株価がさがって空売りで儲かるのは、つねにロング玉を持っている人の損切りがあるから儲かる。
それももちろんですが、株価があがって買いで儲かるときですら、ショート玉を持っている人の損切りで踏み上げるから儲かります。
このように株で儲けるときは、「誰をカモにしているか」という意識を持つことが、わりと大事です。
こと信用倍率の需給を根拠にトレードするときは、そうした一面は際立ちますね。
言い方は悪いのですが、株で儲けるなら、性格は悪くてなんぼです。
<株価があがる仕組みの真実>
初心者の誤解 → みんなが買うから株価があがる
実際 → 大勢の空売りポジ所有者が損切りで買い戻すから、株価があがる
株は「みんなで買って、みんなで高値で売って、みんなでニコニコ笑顔で儲かる」というものではありません。
「踏み上げ」という空売りの損切りエグジットによって、多数の買い戻しがあるから株価があがっていき、現物の長期投資家は儲かるのです。
言い換えれば、空売りで損切りされた短期トレーダーのお金が、現物の長期投資家の財布に流れこむということ。
これこそが相場の本質。
相場がお金の奪い合いだということが、よくわかる瞬間です。
こうした「お金を奪う相手」は、信用倍率・信用残などの需給を見ることで、明確に捉えることができます。
長期投資の現物買いをするときですら、こうした踏み上げを狙い、空売りがたくさん入っている銘柄を確認することが重要です。
<相場をやるうえでの心構え>
つねに少数派が勝つ
お金を奪う相手を、明確に捉える
この2点は、相場をやるならよく覚えておきましょう。
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