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いろんな利益率指標と総資産回転率
<株投資のイロハ5-7>




この記事ではいろんな利益率指標について、整理していきます。

ちょっと難解な内容になりますが、わかりやすくするため、絵をたくさんいれてますので、がんばってついてきてくださいね。


目次

ROEと売上利益率の違い


ROEと売上利益率は、利益率指標としては同じものです。

ただし純利益率(売上純利益率)やCFM(キャッシュフローマージン)が「利益÷売上」という形で、売上高(PL)を分母にとるのに対して、ROAやROEは「利益÷資産」という形で、手元にある活動資金(BS)を分母にとる利益率指標であることに注目です。


  • 利益(PL)が分子、売上(PL)が分母 → CFM、純利益率など(稼ぎに対してどれだけ節約してるかを見る)

  • 売上・利益(PL)が分子、資産(BS)が分母 → ROE、ROA、総資産回転率など(元手に対してどれだけ稼いだかを見る)



総資産回転率とは?


ROEやROAと同じく、資産を分母にとる利益率指標として、ほかにも「売上÷総資産」で計算できる総資産回転率があります。

純利益ベースで考えるときは、「純利益÷総資産」のROAを使います。

しかし純利益をださずに売上を将来の事業投資にまわす「増収減益」の会社を判断するときは、こちらの総資産回転率が多用されますね。


  • ROA → 活動資金に対する純利益の多さを見る(事業投資しない大型株分析にむく指標)

  • 総資産回転率 → 活動資金に対する売上の多さを見る(事業投資する小型株分析にむく指標)



● 増減収と増減益(復習記事・増収減益について)

● 株にはどんな種類がある?(復習記事・大型株と小型株の違い)


ROAと総資産回転率の計算


ROA=純利益÷総資産=純利益率(純利益÷売上)×総資産回転率(売上÷総資産)



ROAは上記のように「純利益÷総資産」以外でも「純利益率×総資産回転率」で計算できます。

つまりROAをあげていくには、純利益率か総資産回転率をあげればいい

そんなこともわかってきます。


安定性なら純利益率を重視


しかしこの総資産回転率、文字通り「どれだけ資金を回転させているか」を示す指標。

小売などの在庫をかかえる物販業ほど、総資産回転率が高いと薄利多売になりがちですので、従業員が過労になったり、価格競争で負けることもしばしば。


安定的にROEやROAをあげていくなら、「純利益÷売上」の純利益率や「営業CF÷売上」のCFMが大きくなっていることが重要、ということもわかります。


  • 純利益率が高く、総資産回転率が低い → 厚利少売で安定性があり、商品価格をおとしても黒字を維持しやすい初心者の銘柄選びにオススメ

  • 純利益率が低く、総資産回転率が高い → 薄利多売になりがちで過労働の不安定、商品価格をおとすとすぐに赤字に転落する危険性


厚利少売と薄利多売の比較


具体的に言ってみれば、肉を大量に仕入れて、それを一気に料理して提供する「安売り」が板についた飲食店のケース。

イメージとして、マクドナルドのような感じの店です。

こういう店は客の回転性もそうですが、従業員の回転性も重要になりますよね。

客が途絶えたり、従業員が不足すると、一気に収益はさがります

商品価格をおとせば、すぐにバランスをくずして赤字に転落する可能性も高いです。


その点、肉を少量仕入れて、少数の客に高額でふるまう叙々苑のような店であれば、客の回転性も従業員不足も、さほど問題にはなりません。

そして商品価格を多少おとしても、黒字を維持しやすいでしょう。

簡単に言えば、そういう話なのですね。



業種にもよりますが、まともな大型株であれば、具体的には総資産回転率の推奨は2まで

つまり総資産1億円であれば、売上は2億円までの会社、ということですね。


コンビニ業での比較例


実際に小売コンビニ業のユニーファミリーマート(8028)とセブン&アイ(3382)で、2019年の純利益率・総資産回転率・ROAがどう株価に影響するか、見ていきましょう。


(クリックで拡大・ファミマとセブンの2019年有報)


「営業収益」はコンビニ業界独特の表現で、売上の言い換えです。

売上から原価と販管費をひいた「営業利益」と名前が似てますが、まったく違う概念ですので、覚えておきましょう。


その他「親会社所有者帰属持分」は、簡単に言えば自己資本のこと。

このように実際に会計書を読解するときは、長ったらしい難解な表現がたくさんでてきます。

自分でグーグル検索するなりして、対処しましょう。


(クリックで拡大・検索の仕方)


これらの会計データは有報だけでなく、SBI証券や楽天証券などの証券アプリでももちろん確認できます。


(1)総資産回転率を計算する



まずはこのデータをもとに、「売上÷総資産」で総資産回転率を計算。



2019年の総資産回転率は、それぞれファミマ0.45、セブン1.17となりますね。

セブンのほうが、総資産に対して忙しく立ち回っていることがわかります。


(2)財務レバレッジとROAを計算する


自己資本比率とROEについては、ファミマもセブンも同じくらいで、それぞれ40%前後、8%前後。

有報からこれがわかっている時点で、どちらの会社の財務レバレッジ・ROAも同じくらいの数値とわかりますが、実際に計算する場合は、以下のように計算。


財務レバレッジ=1÷自己資本比率(財務レバレッジ×自己資本比率=1より)

ROA=ROE÷財務レバレッジ(ROA×財務レバレッジ=ROEより)


計算結果が以下。



ROAは実際スマホ株アプリで確認してみても、ほぼ計算結果と一致。


(SBI証券スマホ株アプリより)


(3)純利益率を計算する


ファミマもセブンもROE・ROAは両方それぞれ8%前後、3.5%前後でほぼ同じ。

しかし総資産回転率はセブンのほうが1.17と、ファミマの0.45に比べて倍大きい。



「ROA÷総資産回転率」で、純利益率もファミマのほうが大きいということになり、セブンよりファミマのほうが安定していることがわかります。


(4)実際の株価への影響


以下、2019年までの月足チャート。



これら財務の数字は株価にも反映されており、セブンイレブンのほうが下降気味のチャートを形成していることがわかります。

このように同業種で利益率や成長率を比較することで、グロース株投資の確度はあがります


今回の場合は、ROE・ROAが同じにも関わらず、セブンと比べて純利益率が高く、総資産回転率が低めなファミマが、良い銘柄として分析できます。

ROE・ROAを見ているだけでは、気づけない優劣です。


レバレッジ指標から見る推奨銘柄の例


  1. 純利益率10%総資産回転率1.5ならROA15%という銘柄

  2. さらに財務レバレッジ1.7(自己資本比率60%)ならROE25%という銘柄



「純利益率→ROA→ROE」の推移を見ることで、その会社がどれだけ無茶をしているのかがわかります。


たしかにできたての新興企業・小型株であれば、総資産回転率や財務レバレッジを大きくすれば、成功したときには素早く事業規模を大きくできるでしょう。

しかし「10年で企業の9割が倒産する」と言われる世の中です。

無理に借金、事業投資、薄利多売などでレバレッジをきかせても、仕方ない。

長期投資するなら、総資産回転率や財務レバレッジは、ほどほどの銘柄がオススメですね。


いろんな利益率指標のまとめ


  1. ROAをあげていくには、純利益率か総資産回転率をあげる

  2. しかし総資産回転率は2までが初心者にはオススメ

  3. 総資産回転率よりも純利益率やCFMがあがっていけば、ROEやROAも健全にあがっていく



まあ究極はROEやROAを調べるときでも、純利益率やCFM(キャッシュフローマージン)を重点的に見たほうがいいことに、変わりはないということです。

ROEも売上利益率も、結局は同じ利益率指標。

相互に作用しあうことは、よく確認しておきましょう。


<いろんな利益率指標から見る銘柄選びのコツ>

財務レバレッジと総資産回転率を2以内におさめて、純利益率やCFMの高い銘柄を選ぶ


■ 次ページ PERの適切な数値とEPS




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